脳神経外科てきとうjournal club

読み癖をつけるために

November 1, 2016 "Sniffing out significant ‘Pee values’: genome wide association study of asparagus anosmia”

Sniffing out significant ‘Pee values’: genome wide association study of asparagus anosmia”

S. C. Markt, et al.

BMJ 2016; 355: i6071

 

【背景】

 アスパラガスを摂取した後の尿臭については以前より多く論じられており、その悪臭は感じる人と感じない人がいることも判明している。過去の研究によりアスパラガス尿臭を感じることができない人は他の人の尿でも感じることができず、さらに尿臭を感じることができない人はゲノムワイド関連解析で一塩基多型(DNAの個体によるバリエーション)がolfactory receptor 2M7 (OR2M7)の近くで認められることが分かっている。その他のバリエーションに関しても調べるために著者らは2つのコホートでゲノムワイド関連解析を行った。

【方法】

 Nurse’s Health StudyとHealth Professionals Follow-up Studyという研究の集団に対して「アスパラガスを食べた後に自分の尿に特徴的な強い臭いを感じるか」という質問を行い、「強く同意する」と答えた集団を臭うことができる集団、それ以外を臭うことのできない集団とした。この集団に対してゲノムワイド関連解析を行った。

【結果】

 6909例中2748例(39.8%)がアスパラガス食後の尿臭に対して「強く同意する」と答えた。871の一塩基多型が2集団間で有意差を持ち、その全てがolfactory receptor 2 (OR2)を含む染色体1に存在していた。3つの独立したマーカーがアスパラガス尿臭を感じることができないのに関連していた。

【結論】

アスパラガスの尿中代謝産物を嗅ぎ分けることができない人は多く、嗅覚受容体遺伝子の近くのバリエーションがそれに関連していた。それらの人にアスパラガス尿臭を経験させるにはさらなる研究が必要だ。

 

【ひとこと】

 BMJの2016年クリスマス特集より。ゲノム云々のところは正直全くわかりませんでした。最近「コーヒーを飲んだ後の尿はコーヒー臭がするのか、しないのか」という話をして、たまたまこの論文を見つけたのでさらっと読んでみました。勉強が足りないのでしょうが、普段関わりのない分野の論文を読むのは難しいです・・・