脳神経外科てきとうjournal club

読み癖をつけるために

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.22-24

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.22-24

 

  1. 患者は明らかに橋本病である(Hashimoto thyroiditis)病理は粘液水腫を示す。サイログロブリン甲状腺ペルオキシターゼ、甲状腺刺激ホルモン受容体への自己抗体によるIV型アレルギーが原因。DR5 HLA subtypeが関連しているとされ、ビタミンB12欠乏による悪性貧血もDR5 HLA subtypeに関連しているという。
    Words: myxedema: 粘液水腫, pernicious anemia: 悪性貧血, psoriasis: 乾癬
  2. バンコマイシングラム陽性菌に有効なグリコペプチド系抗菌薬である。グラム陽性菌は特に細胞壁が細胞の存続には必須であり、細胞壁を成すペプチドグリカンを構成するムレインモノマーという前駆体の末端にあるD-alanyl-D-alanineというアミノ酸構造にバンコマイシンが結合する。そうするとそのムレインモノマーは細胞壁の一部として取り込まれなくなり、細胞壁脆弱性から細胞が死に至る。バンコマイシンに耐性の場合はD-ala-D-alaをD-ala-D-lacに繋ぎかえる酵素が出現し、バンコマイシンがムレインモノマーに結合するのを防がれている。Enterococcus faeciumとenterococcus faecalisは両者とも腸球菌だが、faeciumの方がバンコマイシン耐性になりやすい。治療は高容量アンピシリンとゲンタマイシンの併用である。
    Words: precursor: 前駆体, microorganism: 微生物
  3. Kartagener syndrome(カルタゲナー症候群)の問題。Dynein(ダイニン)の欠如によって繊毛が機能しない事が原因。副鼻腔炎、気管支拡張症、内臓逆位、男性不妊を来す。
    Words: sinusitis: 副鼻腔炎, chloride: 塩化, infertility: 不妊, reactive airway diseases (RAD): 反応性気道疾患, immotile cilia: 繊毛不動, bronchiectasis: 気管支拡張症, situs inversus: 内蔵逆位
  4. Ornithine transcarbamylase (OTC)欠損症。アンモニアを尿路サイクルにより尿素に転換する回路の障害。オルニチントランスカルバミラーぜはカルバモイルリン酸と結合してシトルリンを形成する。

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    もしOTCが欠損すれば余ったカルバモイルリン酸によりオロト酸の上昇を来す。これが他の尿素サイクル異常症との鑑別点である。その他の尿素サイクル異常症はほとんどが常染色体劣性遺伝だが、この疾患はX染色体の伴性優性遺伝である。
    Words: rouse: 目覚めさせる, icteric sclerae: 強膜黄疸, ammonia: アンモニア, orotic acid: オロト酸
  5. Conjugated bilirubin = 直接ビリルビン、unconjugated bilirubin = 間接ビリルビン
    Words: conjugated: 抱合型, pruritus: 掻痒症
  6. 喘息発作に対してはβ2アゴニスト=albutemolが第一選択。
    Words: eczema: 湿疹
  7. Pompe disease(ポンペ病)。Lysosomal α-1,4-glucosidaseの欠損を原因とする常染色体劣性遺伝病。細胞の細胞質とライソゾーム両者にグリコーゲンが蓄積し、進行して行く。乳児型では2ヶ月頃よりフロッピーインファンととなり、心肥大、巨舌、肝腫大が出現し、18ヶ月までに全例が死亡する。酵素補充療法という治療が存在する。
    Words: tachypneic: 頻呼吸, pacifier: 落ち着かせるもの, accumulation: 蓄積
  8. グルコースグルコース-6-リン酸へのリン酸化は解糖系の最初のステップである。ヘキソキナーゼもこの作用をもち、全身の細胞に存在するが、グルコキナーゼという肝臓にのみ存在する酵素は高いKm (Michaelis-Menten constant) と高いVmax(反応速度)をもち、グルコース濃度が高い時のみグルコキナーゼが活性化して血中のグルコースを分解するのである。
    Words: catalyze: 触媒する
  9. I型脂質異常症 = 家族性リポタンパクリパーゼ欠損症= 高カイロミクロン血症。トリグリセリドを脂肪酸とグリセロールに分解する酵素であり、VLDLコレステロールやカイロミクロンに活性化される。TGの著明な上昇が特徴的。家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia: FH)はほとんどがLDLコレステロール受容体の機能不全によるものであり、LDLの上昇が主体、異なる病態である。
    Words: adipose: 脂肪, cleave: 割る
  10. 血管内皮の損傷の後には内皮下のスペースにリポタンパクが蓄積する。その後単球が血管壁に誘導され、マクロファージとなり、酸化されたLDLコレステロールを貪食して泡沫細胞として蓄積される。この段階で様々な細胞メディエイター(platelet-derived growth factor, tumor necrosis factor, interleukin-1など)が平滑筋や血小板を元の内膜の構造に戻そうとする。そして細胞外マトリクスが生成され、繊維性のプラークとなる。
    Words: morbid: 病的, substernal: 心窩部, pending: 保留中, monocyte: 単球, intimal: 内膜