脳神経外科てきとうjournal club

読み癖をつけるために

September 9, 2016 "Repeated Mechanical Thrombectomy in Recurrent Large Vessel Occlusion Acute Ischemic Stroke"

“Repeated Mechanical Thrombectomy in Recurrent Large Vessel Occlusion Acute Ischemic Stroke”

M. Bouslama, et al.

Intervent Neurol. 2017 Mar; 6(1-2): 1-7

 

【背景】

大血管閉塞による脳梗塞(LVOS: Large vessel occlusion strokes)に対する血管内治療の効果は証明されてきたが、再発した脳梗塞に対する同手技の可能性や効果はまだ確立されていない。筆者らのLVOS再発に対する血栓回収療法の経験を報告する。

【方法】

前向きに収集された血管内治療データベースから血栓回収療法を繰り返した症例を抽出した。集団の特性、手技のデータ、転機について評価した。血栓回収療法を繰り返した患者と1回のみ施行した患者とを比較した。同手技を繰り返した患者に関しては画像診断や手技の変更を1回目とそれ以降で比較した。

【結果】

697例中15例(2%)が繰り返し血栓回収療法を施行された(14例は2回、1例は3回)。平均年齢は63±15歳で40%が男性だった。最初と最後の同手技の間の時間の中央値は18(1-278)日だった。心原性塞栓が最も多い病型(66%)であり、続いて頭蓋内アテローム性(13%)、大血管アテローム性(6%)の順であった。90日後には60%の患者がmRS0-2を達成し、20%は死亡の転機となった。血栓回収療法を繰り返した患者とそうでない患者では年齢・性別、脳卒中重症度、onset to puncture time、再灌流率、出血性合併症、良好な転機、死亡率に統計学的な差は生まれなかった。

【結論】

症例を的確に選択すれば血栓回収療法の再施行は安全で効果的な治療であった。同手技を繰り返しても同様の転機を辿ったことから、1度血栓回収療法を施行したということで積極的治療を躊躇する理由とはならないと考えられた。

 

【ひとこと】

残存血栓などで主観動脈閉塞を再発することは稀ではなく、病型診断と再発予防を行うだけでなく再治療も考慮されるべきである。再発例はどちらかと言うと悪い転機を辿るイメージがあるが、この論文では平均年齢63歳と比較的若年である影響か転機は変わらずとの結果だった。再発予防を行うとともに、万が一再発をきたした場合は再治療を迅速に行う必要がある。