February 24, 2015 “Prediction Model for 3-Year Rupture Risk of Unruptured Cerebral Aneurysms in Japanese Patients”
“Prediction Model for 3-Year Rupture Risk of Unruptured Cerebral Aneurysms in Japanese Patients”
Tominari S, et al.
Ann Neurol 2015; 77: 1050-1059
【背景】
未破裂動脈瘤は3-5%の有病率を持ちSAHという致死的な疾患を招く可能性がありながら、その破裂予防の治療自体の合併症が高いことから治療時期の戦略は困難を極める。
Grevingらが未破裂動脈瘤に破裂に関するPHASESスコアを報告したが、独立した外部コホートでの検証を行っておらず、動脈瘤の形状についての検討もされていない。また、日本人とフィンランド人は破裂リスクが高いとされており、日本人のみのコホートでの予測スコアを解析し、外部データで検証した。
【方法】
3年破裂率を予測するモデルを作成。対象はUCASに登録された5720例6697動脈瘤。検証に用いる外部データはUCAS II、SUAVe、慈恵医科大学の報告の3つ。リスクとして検証した項目は年齢、性別、SAHの既往、SAHの家族歴、症候性動脈瘤、動脈瘤の数、動脈瘤のサイズ、位置、blebの有無。
【結果】
5651例、6606動脈瘤のうち107例がフォローアップ中に破裂した。年間破裂率は0.93%であった。検証のデータでは1460例、1661動脈瘤が対象となり、33例が破裂しており、年間破裂率は0.95%であった。SUAVe studyはblebに関する評価はされていなかった。
多変量解析を行うと、有意な破裂リスクは年齢、性別、高血圧、動脈瘤の大きさ、位置、blebの有無であった。そこからスコアリングのために点数をつけ、3年破裂率を求めた。
外部データで検証してもおおよそ一致する結果となった。
【考察】
日本人での3年破裂率を予想するスコアを作成した。日本人はその他国籍より破裂率が高いとされているが、その理由は解明されていない。日本人のみのコホートを用いることで、日本人での破裂リスクについてより有用となるデータとした。
また、GrevingらのPHASEによる5年破裂率をUCAS IIのコホートに当てはめてみると、実際の破裂率より低い破裂率を示す事がわかった。日本人においてはやはり本報告の予測スコアが優れている事がわかった。また、PHASEではSAHの既往はリスクとされたが、今回の検討では有意ではなかった。一方でPHASEで評価されなかったblebに関しては20%の症例に認め、約1.5倍に破裂率を高めるリスク因子であった。
Limitationは日本人以外のコホートで検討していない事、予防治療を行った症例では治療した日をフォローアップ終了の日としているため実際の破裂率より低く見積もってしまっている可能性がある事が挙げられる。
【ひとこと】
日本人のみを対象としたUCASでの破裂予想スコア。PHASEと若干項目が異なるが、日本人における予想ではこちらを利用するのが妥当か。こちらもPHASE同様7mm未満は0点がつくので未破裂脳動脈瘤の治療には慎重になる必要がある。