脳神経外科てきとうjournal club

読み癖をつけるために

March 13, 2018 “Smartphone-assisted minimally invasive neurosurgery”

“Smartphone-assisted minimally invasive neurosurgery”

Mandel M, et al.

J Neurosurg 130: 90-98, 2019

 

【背景】

 近年コンピューター、特にスマートフォンは目覚ましい変化を遂げている。世界的に低侵襲手術を求める傾向となっており、現に高画質内視鏡は低侵襲化に向けて広く手術に取り入れられている。高画質内視鏡と比較してスマートフォンは安価で小さく、世界中で用いられている。iPhoneを使った神経内視鏡システムを開発した。

【方法】

 2010年10月から2015年7月までの42例の低侵襲手術症例が対象。iPhone4,5,6を用いてデバイスを作成し、使用した。

【結果】

脳室内神経内視鏡:全例で合併症なし。内視鏡ポートを用いたが、ケーブルがなく操作性に優れていた。

血管障害:全例で合併症なし。iPhoneの画面と映像の方向が一致するため三次元的な感覚が掴みやすかった。

緊急手術:全ての手術で片手にiPhone、もう片手に手術道具を持って実施。iPhoneのデバイスの重量はわずか305gであり、片手での操作性に問題はなし。硬膜下血腫はburr hole surgeryで。 

【考察】

 医学教育においてはスマートフォンのようなデバイスが活躍しているが、実臨床ではまだ用いられることは少ない。無線で使えること、通信機能があること、比較的安価であることなどは非常に有利に働く可能性が高い。

脳室内神経内視鏡:画面の方を向きながら内視鏡を操作するという不自然な手技が不要。シンプルな症例が多いが、有用と考えられる。

血管障害:通常顕微鏡下に内視鏡を操作することになるが、内視鏡画面を同時に確認できるため顕微鏡下の操作が不要。空間認識が用意となり、不必要な組織の損傷を防げる。

緊急手術:実質出血の成績は優秀であった。また内視鏡下手術によって急性硬膜下血腫もburr hole surgeryで可能となる。Burr holeからでも血腫の完全除去が可能となる。

【ひとこと】

 無線であること、安価であること、三次元感覚が掴みやすいことがイチオシのよう。具体的な作成方法が気になるところではある。