脳神経外科てきとうjournal club

読み癖をつけるために

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.19-21

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.19-21

 

  1. メバロン酸へのHMG CoA (3-hydroxy-3-methylglutaryl co-enzyme A)への変換を抑えるのはHMG CoA還元酵素阻害薬であり、スタチンである。脂質異常症の第一選択薬。
    Words: mevalonic acid: メバロン酸, reductase: 還元酵素
  2. ジデオキシ法による塩基配列決定法の記述。
    Words: nucleic acid: 核酸, fragment: 断片, polymerase, electrophoresis: 電気泳動, decipher:解読する, nitrogenous base: 窒素塩基
  3. 喘息と見せかけてα1-antitrypsin deficiencyの症例。若年性にCOPDを発症する。Serine protease inhibitor α1-antitrypsinの欠損が原因であり、この酵素は肺における好中球エラスターゼの活性を阻害するものである。活性化した好中球エラスターゼは肺胞のエラスチンやコラーゲンを破壊して肺気腫をきたす。発症から5年ほどで呼吸不全で死亡する。
    Words: neutrophil: 好中球, alveolar: 肺胞, emphysema: 肺気腫
  4. カルシウムシグナリングは細胞質のCaイオン濃度の調節による情報伝達回路である。細胞質のCa濃度は通常低く、細胞内ではCaは小胞体に貯蔵されている。小胞体からCaが放出され、ミトコンドリアがそれを取り込むとアポトーシス誘導因子が放出される。
    Words: sequestration: 隔離, endoplasmic reticulum: 小胞体
  5. 酵素反応速度の問題。酵素反応速度vがVmaxの1/2の時の基質濃度がKmである。Kmの意味とは、低ければ低いほど酵素の親和性が高く、低濃度でも複合体を形成する。Kmが高ければ親和性が低く複合体ができにくい。Aの方が親和性が高い=AのKmが低い。
    Words: affinity: 親和性
  6. 患者が発症したのはポルフィリン症の中でも最も頻度の多いporphyria cutanea tarda(晩発性皮膚ポルフィリン症)である。ポルフィリン症はヘム代謝系の酵素のいずれかの活性低下により生じる。Porphyria cutanea tardaはuroporphyrinogen decarboxylaseの欠損によって起きる。
    Words: catalyze: 触媒する
  7. サラセミア(thalassemia) の中でもβサラセミア・メジャーはβ鎖の欠損によるもので、輸血、免疫抑制剤、骨髄移植の適応などがある。地中海に多く、地中海貧血とも言われる。サラセミアは貧血、溶血、脾腫などの症状を伴い、グロビン遺伝子の異常によるものだが、その異常を来した部位によって症状の重症度が異なる。
    Words: Mediterranean: 地中海, descent: 下降, arthralgia: 関節痛, polyuria: 多尿, erythropoiesis: 赤血球形成
  8. アルドースレダクターゼ(aldose reductase)はグルコースソルビトールに分解し、フルクトースを生成する最初の段階に用いられる。糖尿病合併症に関与していると考えられている。
    Words: opacity: 不透明度, cataract: 白内障
  9. p53は最も有名な癌抑制遺伝子である。p53遺伝子は実際には転写因子(transcription factor)として多くの遺伝子の発現に関与する。Li-Fraumeni症候群はp53遺伝子の変異が原因で家族性の悪性腫瘍が多発する。Retinoblastoma gene(Rb遺伝子)と同様に細胞周期をコントロールすることで悪性化を防いでいる。
  10. Polymerase chain reaction = PCR法。ゲノムから選んだDNA断片を増幅できる。熱による2本鎖→1本鎖の変性と冷却による1本鎖→2本鎖のアニーリングを繰り返し、そこにプライマーを加えることで選択した部分を増幅させる。

December 5 2016 “海綿状血管奇形以外での病変周囲T1高信号域”

“Perilesional hyperintensity on T1-weighted images in intra-axial brain masses other than cavernous malformations.”

Nabavizadeh SA, et al.

J Neuroimaging 2017; 00: 1-6

 

【はじめに】

 脳実質内の腫瘤の正確な診断は治療方針を建てる上で非常に重要だ。海綿状血管奇形は内部のまばらな信号域と辺縁のT2低信号を特徴とするが、急性期の出血例では病変周囲の浮腫がありその他の腫瘤性病変と鑑別が困難となることがある。Yunらが既に病変周囲のT1高信号域が海綿状血管奇形をその他の病変と鑑別する上で有用であると報告しているが、我々はその他の病変においてもT1高信号域を呈する経験があり、それらを検証した。T1強調画像で体側の実質と比較して高信号な病変を認めれば、定性的T1高信号域とし、病変辺縁の1cm以内の部位に25mm2のROI(Region of Interest)として定め、正常脳に125mm2のコントロールをおいて比較することで定量的T1高信号域とした。

【方法】

 実質内病変の症例を後方視的に検討した。282例中218例が対象となった。海綿状血管奇形が44例、25例が非悪性の脳内出血、71例の転移性脳腫瘍、46例の神経膠腫、18例の中枢神経原発リンパ腫、14例の脳膿瘍患者が含まれた。2人の放射線科医が盲目的に画像を検証、統計に加えて病理学的な検討も行った。

【結果】

 病変周囲のT1高信号域は転移性脳腫瘍の9%、海綿状血管奇形の16%、非悪性の脳内出血の4%に認められ、神経膠腫やリンパ腫、膿瘍には認めなかった。ANOVAの解析では海綿状血管奇形が有意にT1高信号域を伴う率は高かった。非出血発症の症例においてT1高信号域を伴うものはなかった。T1高信号域を伴うもののうち、2例の海綿状血管奇形の症例を除く全例が病変周囲の浮腫を伴った。T1高信号域の大きさはほとんどの症例においては血管原性浮腫の大きさに関連したが、海綿状血管奇形の2例のみが例外であった。

 海綿状血管奇形において、T1高信号域は感度が16%、特異度が94%、陽性的中率が38%、陰性的中率が84%であり、転移性脳腫瘍においては9%、94%、57%、56%であった。

 9例が病理学的検討を行うことができた(検体不良などを除いた)。5例が海綿状血管奇形で4例が転移性脳腫瘍であった。このうち2例がT1高信号域を認めたが、病理学的な違いを見つけることができなかった。しかし、T1高信号域を示す部位は血管の密度が高い傾向にあった。

【考察】

 海綿状血管奇形は他の病変よりT1高信号が強い傾向にあったが、脳内出血でも同様の所見のあるものもあった。T1高信号域は急性期の出血を認めた症例にのみ認められており、これは過去の報告とも一致した。過去の報告では海綿状血管腫の62%にT1高信号域を認めたとあったが、本報告では16%に留まった。

 海綿状血管奇形は洞状の血管構造が脳実質を介さずに結合式の中に埋め込まれている。密着結合や周皮細胞が減少し、出血や血管外漏出をきたしているとも言われている。近年では海綿状血管奇形患者における血管透過性の亢進もあると言われる。

 本報告では転移性脳腫瘍ではT1高信号を示すものもあったが、神経膠腫では認めなかった。膠芽腫と転移性脳腫瘍は両者とも血管に富んだ腫瘍であり、基本的な成因に違いはあるものの、意外な結果であった。神経膠腫においては新生血管による血管透過性の亢進があるが、転移性脳腫瘍については脳細胞由来でないためBBBは完全に消失している。

 また、1例の脳内出血症例でもT1高信号域を呈した。脳内出血では炎症性物質の上昇を呼び込むことは言われており、BBBの破綻や血管透過性の亢進に影響すると考えられる。脳内出血による浮腫はすぐに出現してピークを10-20日で迎えると言われるが、本報告ではそのピークでMRIを撮影した症例が少ない。

 本報告では、T1高信号域の最大の要因は血管透過性の亢進したことによるタンパク質の漏出が原因と考えられた。病変周囲の血管系が発達している部位では、漏れ出た成分のうちの血漿が素早く吸収されることが予想され、それがT1高信号に繋がると考えられる。また、海綿状血管奇形と転移性脳腫瘍はその他の病変より出血発症が多いことも、その率が高くなった要因と考えられる。

【結論】

 病変周囲のT1高信号域は海綿状血管奇形に限られたものではなく、メラノーマや転移性脳腫瘍の可能性も挙げられる。この報告では神経膠腫やリンパ腫、脳膿瘍で同様の所見は認められなかった。

【ひとこと】

 海綿状血管奇形のみではないとなると、臨床的有用性は低くなるか。神経膠腫での報告はまだない。

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.18-19

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.18-19

 

  1. Xeroderma pigmentosa(色素性乾皮症)常染色体劣性遺伝の光過敏性皮膚疾患である。紫外線はDNAのチミン塩基とシトシン塩基に吸収され、時に結合して二量体を作る(チミンダイマー)。これはDNAの中に堅いもつれを生じる原因となり、光過敏や悪性化の原因となる。XPはチミン二量体の修復が障害される。

Words:ultraviolet light: 紫外線, photosensitivity: 光過敏

  1. クエン酸脂肪酸の合成には必須(スタートライン)。オキサロ酢酸とアセチルCoAからなる。

    f:id:nsjc:20190813185000j:plain

    クエン酸回路

Words: pyruvate: ピルビン酸, glycolysis: 解糖系, fatty acid synthesis: 脂肪酸合成, citrate: クエン酸, oxialoacetatic acid: オキサロ酢酸

  1. 甲状腺ホルモンは担体(輸送タンパク質)によって細胞内に入り、核内受容体と結合する。ホルモン受容体複合体はDNAと結合して転写因子として働き、messenger RNAを生成する。

Words: prominent: 著名な, exophthalmos: 眼球突出

  1. アルカプトン尿症(alkaptonuria)は尿の黒変、組織黒変症、関節症を伴う稀な疾患であり、チロシンフェニルアラニン代謝経路においてホモゲンチジン酸酸化酵素の欠損によりホモゲンチジン酸が蓄積する常染色体劣性遺伝の疾患である。

Words: cartilage: 軟骨, tophi: 痛風結節

  1. サザンブロット法ではprobeがついたところを認識するため、酵素により切断されてかつprobeがついているところがブロットされる。鎌状赤血球症はヘモグロビンの形態異常による溶血・貧血を引き起こす疾患で、黒人に多く見られる。

Words: sickle cell trait: 鎌状赤血球症

 

May 1 2019 “脳神経外科手術における術後感染予防の歴史”

“Prevention of surgical site infection after brain surgery: the prehistoric period to the present”

Carrol E, et al.

Neurosurg Focus 2019; 47: epub ahead.

 

【はじめに】

 21世紀における術後創部感染(SSIs)の予防において、その歴史を知ることは必要である。

【有史以前】

 最も古い脳神経外科手術の報告は紀元前1万年のtrephination(穿頭術)である。術後に骨の治癒過程にある頭蓋骨が見つかっていることから、術後もある程度生存していたことが伺える。また、金を使って頭蓋形成術を行った形跡もあり、重金属の殺菌性についても感覚的に掴んでいたと考えられる。創部の毛髪を結んで傷を合わせる技術もあったと思われる。

古代エジプトバビロニア(紀元前3000年〜30年)】

 文字の出現により手術に関する書物を残すことが可能となった。この時代の医学は魔法と迷信が基盤となっていたようだが、その一方で紀元前1700年のEdwin Smith Papyrus(当時の外科手術に関する書物)には頭蓋縫合を活用した外傷手術の記載がある。時を同じくしてSSIに関してもビールで創部を洗浄してワインと油で浸した包帯で巻くという予防法が取られていたという。

古代ギリシャビザンツ帝国(紀元前500年から紀元後700年)】

 戦争や闘技場の負傷者が多く、脳神経外科手術は広く行われ、発展した。ヒポクラテスは脳の損傷の局在や穿頭術と傷の管理について記し、膿が創傷治癒過程において好ましく無いものであると発見した。ワインによる消毒法も同様に記載されていた。しかしながらヒポクラテスの膿に関する考えは当時は受け入れられなかった(創部感染が多かったせいか、膿の出現は通常治癒過程と考えられたのかもしれない)。ヒポクラテスの医学をまとめたガレノスの書物はその後19世紀に到るまで影響を与え続けた。同じ時代、Paul of Aeginaも脳神経外科の手術道具や手術手技、創管理についての書物を記している。

イスラム黄金時代】

 この時代は2人の大きなインパクトを残す医師を育てた。Haly AbbasとAlbucasisである。Haly Abbasは”The Perfect Book of the Art of Medicine”を残し、手術や創管理について述べた。ここにもワイン漬けの包帯の有用性が記されている。Albucasisは”The Clearance of Medical Science For Those Who Can Not Compile It”を残した。これには脳のみならず当時あまり注目されていなかった脊髄についても記載があり、動物の腸から作った天然素材の紐を用いた皮下縫合も行われていたようだ。

【中世期(400-1400年)】

 Rogerius Salernitanusは頭蓋骨骨折の手術や創部に関する具体的な手順の記述を行ったイタリア人である。Theodoric Borgognoniは無菌操作のパイオニアとされるセルビア人であり、当時医学の王道であったガレノスの教えに反する、膿を悪とする考えであった。Leonard of Bertapaliaも同様にガレノスの教えに背き、非難を浴びた。中世の終わりにはGuy de Chauliacが頭部外傷の手術前の剃毛の有用性を述べ、頭部の創傷を7タイプに分けてそれぞれの処置法を定めた。しかしながら彼は膿の概念についてはガレノスの教えに忠実であった。

【16-18世紀】

 この時代の貢献者は近代手術の父と言われるAmbroise Pareである。Pareは創部からの異物の除去と熱した油を傷に入れることを提唱した。卵黄と油で作ったドレッシング材を用いてSSIを大きく減らした。200年後にはフランスの外科医であるSauveur Francoi Morandが脳膿瘍の手術を行った。その手術法は指で可能な限りの膿瘍を除去し、樹脂・精油・油を混ぜたものを置き、銀のチューブでドレナージを行うというものであった。銀の殺菌性や脳内スペースにおける持続的ドレナージの有用性を認識していたと思われる。上記の工夫を凝らしていたが、この時代は未だ「清潔」の概念は存在していなかった。

【19-20世紀】

 19世紀に入っても膿の概念はなかなか正されることはなかった。Oliver Wendell HolmesとIgnaz Philipp Semmelweisは手洗いの有用性を提唱した。SSIは19世紀を通して大きな死因の一つであり、術後8割の患者が院内感染を起こしていた。Stephen Smithは当時の状況をこう記されていた。「脳神経外科手術患者は剃毛されているものの、その頭皮は清潔ではなかった。術者は剖検から直接手も洗わずに手術室に入った。素手の助手が教育のためと称して術野に触れていた。」

 1867年4月にJoseph Listerが消毒法についての本を出版し、感染予防の概念は大きく変わった。彼の業績の一つは「滅菌ガーゼ」を導入したことでもある。これを機に医学会は清潔概念の考えを改め始めた。この動きはその後熱殺菌や滅菌ガウン・キャップ、手術用マスク、手術用手袋の発明に繋がった。

 Listerの革命的な出版から100年もしないうちにAlexander Flemingがさらなる革命的な発見をした。それがペニシリンである。

【21世紀】

 清潔概念が導入され、SSI対策が精力的に行われるようになった。しかしながら、いまだにSSIは広く世界で問題となっている。脳神経外科領域のSSIは一般的に1-9%と報告されているが、報告によってかなり差があるのが現状である。

 現在も検討されている事項として、ドレーン挿入中の術後長期抗菌薬投与の必要性、効果的な脳室ドレナージカテーテル、ドレーンからの脳脊髄液採取の最適な頻度などが挙げられる。これらは依然として議論の余地がある分野である。

【結論】

 最も古い脳神経外科手術が行われてきた頃からSSIは問題視されているが、その予防法については議論の余地がある部分も多い。全ての答えを未だに我々は併せ持っておらず、今後も同じ歴史を繰り返さないように検討を続けて行くべきである。感染予防のプロトコールを作り、全体もしくは施設ごとのガイドラインを強調し、アンケートや教育を行って、SSIを根絶するための努力を絶やしてはいけない。

【ひとこと】

 脳外科手術は多くの場合完全清潔手術で行うことができる。頭皮の血流が多いことも相まって術後感染を起こす頻度は低いと考えていたが、1度感染を起こすと整容的観点からもかなり悲惨な結果を招くことが多々ある。もともと不潔でない手術においては感染は0を目指すべきであるし、そのための工夫は今後の課題である。

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.7-8

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.7-8

 

  1. ノンネイティブに対する医療行為への同意は、通訳や理解可能な同意書を用意するべき。緊急時はもちろんその限りでは無い。

Words: pertinent: 関連する

  1. 米国での65歳以上の高齢者の死因は心臓病>悪性腫瘍>脳卒中である。交通外傷は若年者の死因の1位。

Words: adolescents: 青年期

  1. 防衛機制(defense mechanisms)は受け入れられない状況や危険な状況からの不安を軽減させるための、無意識的な心理的カニズムである。ジークムント・フロイトが提起し、その娘アンナ・フロイトがまとめた。Denial(否認)は考えや行動などの結果を認めることができない状態。Displacement(置き換え)は欲求を本来のものから置き換えて充足させること。Projection(投影)は受け入れがたい感情を自分のものとして認めず、他人に妄想として写し出す。Rationalization(合理化)は理論的と思える理由を当てることで、満たされなかった欲求を自分に対して納得させる行動。Repression(抑圧)は無意識の中に欲求や苦痛を押し込め、思い出させなくすること。思い出せないという点でdenialとは異なる。

Words: obvious: 明らかな, implication: 含み, consequence: 結果, attribute: 帰する, provoke: 怒らせる

  1. 運動発達の問題。3-4ヶ月で首が座り、半年ほどで寝返りをうつ。1歳で一人歩き、単語を話す。2歳で両足ジャンプ、二語文を話す。3歳で3輪車に乗り、昼間のおもらしをしなくなる。4歳になるとけんけんができるようになり、5歳でスキップをしてトイレが自立する。
  2. 相対危険度の問題。割愛。
  3. Delusional disorder(妄想性障害)は奇異で無い妄想が1ヶ月以上続き、その他の精神疾患が否定的であるときに診断できる。Schizophreniaの場合は幻覚、支離滅裂な言動、陰性症状を引き起こす。パーソナリティ障害はA群(odd type)、B群(dramatic type)、C群(anxious type)に分けられる。

Words: accolade: 栄誉, articulate: 明瞭な, protest: 抗議する, contrary: 反対の, suspicion: 容疑, bizarre: 異様な

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.6-7

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.6-7

 

  1. Sildenafil = バイアグラ。ニトロとバイアグラは両者ともcGMPを活性化させることで血管平滑筋を弛緩させ、血流改善を測る。両者が同時に摂取されることで重症な低血圧や循環動態の破綻が起こりうる。

Words: precipitate: 促進する

  1. 社会的に独立していなければ医療的な決断を一人で下すことはできない。成人していない場合は裁判所で認められるか、結婚していなければならない。

Words: menses: 月経, abide: 我慢する, emancipate: 自由にする

  1. コホート研究では相対危険度を求めることはできるが、オッズ比を求めることはできない。オッズ比を求めることができるのは症例対照研究(case-control study)である。コホート研究は健康な集団もしくは集団を分けてから追跡調査を行い、疾患への影響を調べる。それに対して症例対照研究は罹患群に対応する健常者群を後からマッチさせて比較する。こちらは思い出しバイアスの影響を受けやすい。オッズ比はある疾患が起こる確率をPとすると、Odds=P/(1-P)である。

Words: prenatal: 出生前

  1. Tanner scale(タナー段階)の問題。女性のもっとも身長が伸びるのはstage 3。

f:id:nsjc:20190811125143p:plain

tanner stage

Words: scoliotic: 側弯の, velocity: 速度, papilla: 乳頭, pubic hair: 陰毛, areola: 乳輪, contour: 輪郭, thighs: 太もも, downy: 綿毛

August 2 2018 “脳内出血に対する低侵襲手術:メタ解析”

“Minimally invasive surgery for intracerebral hemorrhage: an updated meta-analysis of randomized controlled trials”

Scaggiante J, et al.

Stroke 2018; 49: 2612-2620.

 

【はじめに】

 脳内出血は世界で年間200万人が罹患し、発症1年で50%が死亡する最も致死率の高い脳卒中である。生存者のうち61-88%が半年間でADLの自立を獲得することができる。数々のRCTが手術加療について行われて来たが、予後の改善を示したものはなかった。近年は低侵襲手術(minimally invasive surgery: MIS)のRCTが多く行われており、様々なMISの手法を含めてメタ解析を行った。

【方法】

 MISとその他の治療群とを比較したRCTを用いてメタ解析を行った。

【結果】

 958の報告から15の質の高いRCTを抜粋してメタ解析を実施した。MIS群では8報告が定位的血腫溶解療法を、1報告が定位的血腫吸引術を、5報告が内視鏡下手術を、1報告が定位的血腫溶解療法と内視鏡下手術の両者を用いていた。その比較対象としては9報告が内科的治療を、6報告が開頭術を用いていた。

 MISは内科的治療や開頭術と比較して明らかな死亡率の低下と機能予後の改善を認めた(p<0.00001)。開頭術と直接比較してもMISの方が利点が多いとわかった(p=0.0002)。定位的血腫溶解療法と内視鏡下手術の両者についてそれぞれ評価しても、どちらも有意にMISが優れた結果であった(p<0.00001)。発症から24時間以内、また72時間以内に手術を行った群にわけてサブ解析を行っても、MISが有意に優れた結果であった。

【考察とまとめ】

 ICHの治療としてMISが非常に優れていることがわかった。また、手術の介入までに時間についても、発症から24時間以内の超急性期でも72時間以内の急性期でも、MISが優れていた。定位的血腫溶解療法と内視鏡下手術を比較した報告はなく、今までの報告からもこの二者は比較することはできない。しかしながらその他の治療(内科的治療もしくは開頭術)と比較して明らかな死亡率や機能予後の改善を示す結果となった。今後はそれぞれのMISの手技についても検討がされていくであろう。

【ひとこと】

 開頭術と比較しても有意差を持って優れているとなると、脳内出血に対する開頭術は絶滅していくこととなるだろう。内視鏡下手術は未だ普及には至ってないと考えられ、定位的手術がひとまず1st choiceとなるか。実際には出血点が確認できるわけではなく、個人的には術後の不安が多い手術の一つだが。