脳神経外科てきとうjournal club

読み癖をつけるために

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.25-26

FIRST AID Q&A for the USMLE STEP 1, p.25-26

 

  1. 副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone: PTH)の作用はカルシウムとリンのバランス調節である。カルシウム血中濃度が下がると、PTHは急速に分泌され、小腸からのCa吸収を促進し、尿細管からCaの再吸収を促し、同時にPの再吸収を阻害する。また、ネガティブフィードバックとしてPTHの分泌を自ら抑え、1,25-dihydroxyvitamin D(=活性化ビタミンD)の産生を促す。
    Words: predispose: (病気に)かかりやすくなる, endocrine gland neoplasia: 内分泌系腫瘍, excess: 過剰, reabsorption: 再吸収, renal tubules: 尿細管,
  2. 急性ポルフィリン症(acute intermittent porphyria: AIP)の問題。腹部症状、精神・神経症状、心血管症状で発症し、ポルホビリノゲン脱アミノ酵素(porphobilinogen deaminase)の欠損による。ポルフィリン症はヘム合成経路の酵素欠損によりヘム前駆体が蓄積して毒性を来す疾患である。
    Words: puberty: 思春期, precipitate: 促進する
  3. 2歳男児の腎臓を巻き込む巨大腹部腫瘍、Wilms腫瘍の症例。小児の悪性疾患の約6%を占める。多くの場合染色体11pにあるがん抑制遺伝子であるWT1の欠失を認める。
    Words: diaper: オムツ, flank: 脇腹, hematuria: 血尿, embryonal: 胎児性
  4. Friedreich失調症、トリプレットリピート病の一つ。世代を経るごとに重症化する表現促進現象(anticipation)といえばトリプレットリピート病。GAAリピートの延長によってmRNAやタンパク質の発現量が減るとされる。一方で脊髄小脳失調症やハンチントン病などのポリグルタミン病もトリプレットリピート病の一種だが、こちらはCAGリピートの延長によって遺伝子産物のミスフォールディング(折りたたみ構造の変化)を来たし、神経細胞内に異常タンパク質が蓄積するとされる。Friedreichが遺伝子の機能喪失による疾患とすると、ポリグルタミン病は遺伝子の機能獲得による疾患と言える。
    Words: impede: 邪魔する
  5. フェニルケトン尿症(phenylketonuria: PKU)は精神発達遅滞、色素欠乏症で発症する。フェニルアラニンチロシン代謝を行うphenylalanine hydroxylaseの欠損が原因であり、常染色体劣性遺伝である。血中のフェニルアラニン濃度が高く、神経毒性を持つ。チロシンの欠乏によりメラニンの生成ができなくなり、色素欠乏症が出現する。治療は低フェニルアラニン食とチロシンの摂取である。
    Words: hypopigmentation: 低色素
  6. 脂溶性ビタミン=ビタミンDAKE。それ以外は水溶性。Wernicke症候群はビタミンB欠乏症、錯乱、平衡感覚異常、異常眼球運動を示し、Korsakoff症候群に移行すると健忘、作話が出現する。ペラグラ(pellagra)はビタミンB3不足による光過敏を特徴とする皮膚障害。溶血はビタミンE不足、新生児出血はビタミンK不足、夜盲はビタミンA不足、骨粗鬆症ビタミンD不足。
    Words: elaborate: 精巧な
  7. I-cell病(ムコリピドーシスII型)はライソゾーム病の一種であるが、ライソゾームの糖類の分解機能低下によるものでなく、ゴルジ体にある糖転移酵素(mannose-6-phosphate by GlcNAc phosphotransferase)が欠損することが病態の原因である。Hexominidase, idunuronate sulfatase, arylsulfatase Aなどのライソゾームの酵素が細胞内に取り込まれずに細胞外に余ってしまう状況となる。I-cell病の特徴は骨格異常や関節可動域制限、特徴的な願望、重症な精神運動障害である。