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読み癖をつけるために

November 12, 2018 “Effectiveness of a brief behavioural intervention to prevent weight gain over the Christmas holiday period: randomized controlled trial”

“Effectiveness of a brief behavioural intervention to prevent weight gain over the Christmas holiday period: randomized controlled trial”

Mason F, et al.

BMJ 2018; 363: k4867

 

【背景】

 2015年の統計では世界の約6億の成人が肥満とされ、70カ国以上で1980年代と比較して倍増している。減量には持続的な努力を要するため、生活様式の変化による減量は現実には非常に難しい。人類の体重は年間を通して微増するものであるが、クリスマスのような祝日に大幅な増加を示す傾向にある。

 人はクリスマスにはたくさん食べ、ゆっくりするものである。過去のレビューで負荷のあまり強くない食事制限や運動が減量に寄与しうるとの報告もあり、クリスマス期間の「小さな努力」が減量に効果的であるかを統計学的に検証した(Winter Weight Watch Study)。

【方法】

 2群の二重盲検法でのランダム比較試験。2016, 2017年のクリスマス前後(11-12月と翌年1-2月)で比較した。

「小さな努力」は3つの方法を用いた。

  1. 自分を自分自身で監視するように努めること
  2. 最低週2回(できれば毎日)は体重を計ること
  3. 減量の10のコツや食べ物の運動換算表と向かい合うこと

 目標は体重を0.5kg以上増やさないこととした。対象群は食事などに関する情報の乗っていない普通の公衆衛生に関する冊子を渡した。最後にアンケートで食事を制限できたか、食べてしまったか、全くコントロールできなかったかを調査した。

【結果】

 272例が対象となり、6人が途中脱落した。白人女性が多く、平均年齢は43.9歳であった。平均の体重変化は介入群で-0.13kg、対象群で+0.37kg。元の体重やその他の減量プログラムへの参加などの要因を補正しても-0.49kgと有意に介入群で減量に成功している結果であった。体脂肪率は介入群が減少傾向にあったものの有意差はなかった。0.5kg以上の増加がなかった確率についても介入群が高かったものの有意差はつかなかった。アンケートでは有意に介入群で食事を制限できたと答える人が多かった。

【考察】

 小さな努力でクリスマスシーズンの増量を抑えることができた。増量を防ぐための方法についての報告は少なく、システムレビュー1つとランダム化比較試験が9つしか過去10年間で報告されていない。10週以下の小さい努力で評価している論文は本報告が初である。ほとんどの報告では長期にかけても大きな成果は挙げられておらず、短期間の特に増量しやすい(クリスマスなど)に集中した本報告のような減量法は有効であると考えられる。Limitationsはフォローアップ期間が短いこと、増量を防いだ実際の重量差が小さいこと(0.5kg程度)であること、参加者は健康意識が高い可能性が高いことが挙げられた。

【結論】

 増量しやすいクリスマスシーズンに小さい努力を重ねることでその期間の増量を抑えることができる。今後の健康増進の指標の一つになるだろう。

【ひとこと】

 BMJクリスマス特集2018より。太りやすい時期に集中して努力するのは確かに有効か?